Bi-2223多芯線の交流損失に及ぼす磁束線可逆運動の効果(II)

前回、平均のフィラメント厚さ d=10μmを持つ61芯Bi-2223超伝導テープにおける交流損失 を磁化曲線から求め(磁界はテープ面に平行)、100Kにおいて量 子化磁束の可逆運動により不可逆なKimモデルの予想よりも交流 損失が低減することが観測された。一方77KではdがCampbell の交流磁界の侵入深さλ'0よりも小さくないために交流 損失はほぼKimモデルの予想と一致した。77Kにおいても同様な 交流損失の低減のためにはフィラメント厚さをさらに薄くする必 要があり、今回d〜2.5μmを持つ1369芯テープにおいて同 様な測定を行った。その結果ほぼ全 交流磁界振幅においてフィラメント厚さを薄くすることにより交 流損失は低減している。これは不可逆な臨界状態モデルの予想と は異なり、交流損失の低減は量子化磁束の可逆運動によるも のと考えられる。