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フィラメント転位型Bi-2223多芯線材の損失特性

 Bi-2223多芯線材は電力ケーブル等への応用が期待されている。この応用において線材には単芯線と同等の非常に大きな通電損失が生じる。通電損失を低減するにはフィラメントを転位し、通電電流分布を一様化させることが有効である。そこで前回、フィラメント転位型の新しい線材製造法を提案し、この新構造線材では電流分布の一様化が達成されること、およびその結果従来の線材と比べ通電損失が低減される可能性について示した。この製造法は、多芯テープ材を芯線に螺旋状に多層交互に巻つけることで、フィラメントに転位効果を持たせる方法であるが、今回は、この新構造線材の電流分布についてさらに理論的検討を進め、通電電流が一様化される線材パラメータの最適化を行った。さらに、実際にこの製造法による線材を試作し、通電損失測定を行った。その結果、各層が同方向に巻かれた線材と比較し、交互に巻かれた線材の損失が少なかったことから、新構造線材のフィラメントの転位効果を示すことができた。