過飽和固溶体からの変態析出反応を利用することにより、微細な結晶粒組織で化学量論組成を有し、そのため高磁界での臨界電流密度が極めて高いNb3Al極細多芯線の製造が可能になった。磁束線のピン止め特性を直接決定するのは、変態後のA15相の微視的組織である。しかし、この組織は、前駆体である過飽和固溶体の微視的組織に依存する。また、この過飽和固溶体の組織は、さらに、Nb/Al複合体の断面構造や急熱急冷条件に依存する。本研究では、過飽和固溶体および変態後のA15相の微視的組織を詳細に調べるとともに、それらと超伝導特性との相関について述べる。