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加速器用超伝導マグネットの高磁界化のニーズに対してNb3Snのラザフォードケーブルの開発に関心が高まってきている。Nb3Snのラザフォードケーブルは現在実用されているNbTiのケーブルに比べ高電流密度かつ高安定であるが、変動横磁界中における交流損失が大きく、特に素線間結合損失が大きな問題となっている。従って安定性を損なわずこの素線間結合損失をいかに低減するかがNb3Snのケーブル開発の重要な課題である。この解決法の一つとしてケーブル内に高抵抗のステンレスシートを挿入した新構造のNb3Snのケーブルが提案されているが、現在やっと試作が始まったばかりであり、理論的にも実験的にもまだ十分な検討がなされていない。本研究ではこの試作された新構造Nb3Snラザフォードケーブルの短尺試料を用いて交流損失測定を行い、ステンレスシートの効果を実験的に調べた。さらに、短尺試料による損失測定の際の試料長依存性について実験的に調べ測定の有効性についても検討した。今回は、これらの測定結果と有限要素法による数値解析について報告する。