磁性蓄冷材RSb(R=Dy,Gd,Ho)の比熱測定

4K蓄冷式冷凍機における蓄冷器内の熱交換効率(蓄冷器効率)の高効率化には重要な要素であ る蓄熱量を高めるために、高熱容量物質の作製を行っている。作業ガスであるヘリウムガスは10K以 下に大きな比熱のピークが存在するため、そのピークをカバーできる蓄冷材を探さねばならない。こ のような低温で大きな比熱ピークを持つ材料としては、磁気相転移による比熱変化を示す磁性体のみ が考えられる。しかし、鋭いピークを持つ磁性体の半値幅は狭いため、単体のみではヘリウムガスの 比熱特性はカバーできない。蓄冷器内の低温側から高温側に比熱のピークが異なる材料を層状に充填 しヘリウムの比熱特性をカバーするような多層構造の蓄冷器が必要である。現在までに測定されてい る材料の比熱特性を調査した結果、(1)Sbは転移点付近に非常に鋭いピークがあり、(2)Hoは磁気モー メントが大きい。以上の事実より、多層構造蓄冷材としてHoSb,DySb,GdSbの3種類が良いと考えられ るので、それらの試料を製作し比熱の測定を行った。HoSbとDySbは予想通り5Kと10K付近に非常に大 きく鋭いピークが得られた。GdSbは比熱ピークが20k付近になだらかに存在し、高温側(10K以上)の蓄 冷材に適することが分かった。以上の比熱測定の結果を中心として発表する。