冷凍機冷却型5Tスプリット超伝導マグネットにX線回折装置を組み合わせた、強磁場低温X線回折装置を開発することに成功してきた。この装置は液体ヘリウムを一切使用していないために操作が極めて容易であり長時間の測定に威力を発揮できる。X線回折測定を5Tまでの強磁場中で可能にする装置で、まさに測定に長時間を要する格子定数の温度変化を調べることができる。今回、磁場誘起相転移を生じるMn系の酸化物に対して5Tまでの一定磁場中において200Kから8Kまでの格子定数変化を測定した。その結果、これまで磁気抵抗と磁化の測定から得られてきた磁場中相転移現象を格子定数の直接測定によって相転移現象確認できた。これまで報告されている相図と比較すると、相転移の振る舞いがかなり複雑で新しいドメイン形成も生じていることが判明した。