計量研でこれまでに開発を進めてきたレーザ加熱式acカロリメトリ装置は比熱と熱拡散率の両方の測定に対応可能な汎用性と磁場下での測定を考慮した拡張性などの特長を有するが、簡便な実用測定装置として利用するためにはその取り扱いが必ずしも容易ではなかった。今回、同装置をベースに熱拡散率の測定に特化して最適化した低温用実用熱拡散率測定装置の開発に着手したので報告する。具体的には、以下の様な最適化を進めた。1.顕微鏡観察可能なクライオスタットを導入し、室温空間と試料空間とのアクセス距離を大幅に縮めた。2.加熱光源として、He-Neレーザだけでなく、半導体レーザの選択も可能とした。3.顕微鏡とビームエクスパンダを導入し、試料表面上でのビームスポット径をμmからcmオーダーで連続可変にした。4.試料をCryostatごとXY2軸の微動ステージで精密な位置決めを可能にした。それぞれの目的・効果などの詳細について当日報告する。