交流用超電導線材は、極低温下でのわずかな擾乱に対して常電導転移をひきおこす事が知られている。擾乱によって線材内で常電導転移が起きてしまうと大事故につながるおそれがあるため、撚線導体の常電導転移特性の評価は必要不可欠である。我々は、過渡安定性の評価基準として導体の最小クエンチエネルギー(MQE)を選び、NbTi/CuNi撚線導体と、安定化銅を素線表面に配置したNbTi/Cu/CuNi撚線導体について過渡安定性の評価を行った。今回は、上記した2種類の撚線導体についてヒータ線によるクエンチ実験を行うとともに、撚線導体内部の常電導転移のメカニズムを調べるため、3次元有限要素法を用いた熱解析を行った。以上により、銅シースの過渡安定性向上の効果を定量的に明らかにしたので、その結果を報告する。