超電導交流機器の実現に向けて、我々は交流超電導巻線の諸特性を調べることを目的として、一次巻線を超電導化した垂直円筒型リニア誘導モータを設計し製作した。交流超電導応用に関する研究は、これまで交流超電導体の特性向上や大電流容量化を中心に、導体開発と応用の基礎となる超電導コイルの試作・実験に基づく研究が主として行われてきた。今後は、実際の交流機器における運転環境下での超電導巻線(コイル)の特性評価に基づく検討を行っていく必要がある。そこで、NbTi/CuNi超電導線を用いた一次鉄心のない垂直円筒型リニア誘導モータ(STLIM)を製作し、実験的な見地より特性評価をする計画を立てた。まず、有限要素法による解析コードを開発し、試作した円筒型リニア誘導モータ(銅巻線)によりその解析コードの妥当性の確認を行った。その解析コードを用いて、STLIMの超電導コイル、巻線方式、巻数、二次導体、バックアイアン等の基本設計、及び超電導巻線の安定性や始動推力特性等の特性解析を行った。また、この基本設計をもとにクライオスタット、超電導巻線コイルをはじめとしてSTLIMを製作した。また、クエンチ検出保護回路の付いた励磁用交流電源に関しても検討を行った。