動作開始電流値の調整可能な超電導限流器の調整と復帰特性

 近年、電力需要は堅調な伸びを示しており、今後もその傾向は続くと予想されている。これに対応するため、電源設備や送電設備の新設や改修により送電容量の増加が計られているが、それに伴い電力系統の短絡電流が増加する。そこで、短絡故障電流を遮断器の遮断容量以下に抑えるための超電導電力機器として注目されているのが、超電導限流器である。 超電導限流器の導入形態についてはいくつか提案されているが、そのうち送電線の両端に遮断器と限流器を併設する形態については、限流器の動作開始電流値にかなりの精度が必要であることが明らかにされている。 そこで、動作開始電流値の精度を実現するため、製造後にその調整が可能な超電導限流器を設計・製作を行った。この超電導限流器の基本構造は変圧器型で、1次コイルと2次コイルとを同軸円筒状に配置して、コイル間の磁気的結合度を変えることにより動作開始電流値の調整を可能としている。 この試作超電導限流器を用いて、その動作開始電流値の調整の原理を検証する実験を行った。また、送電線の事故とその際の遮断器動作の簡単な模擬を行い、動作特性、特に復帰特性に注目した実験を行った。 詳細な内容については、本文を参照されたし。