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ITER超伝導コイルの計測と運転監視

吉田 清 ITER-EDA Naka Joint Work Site (原研)
米川 出 ITER-EDA San Diego Joint Work Site (原研)

はじめに: ITERで使用される超伝導コイルを運転監視するための計測システムの構成の概要を示す。さらに、コイルの運転監視で最も重要なクエンチ検出法を示す。

コイル計測制御システム:ITER超伝導コイルは20個のTFコイル、1個のCSコイル、9個のPFコイルと6対の補正コイルから構成されている。それらの超伝導コイルを運転監視するために、約3,400点の計測点の信号処理と、コイル冷媒の流量を制御するために450個の弁を、コンピュータで自動制御をする必要がある。さらに、コイルのクエンチを検出して保護回路を動作させる機能を必要とする。コイルの計測システムは図1に示すような構成をしており、信号処理とクエンチの保護連動を行う現場盤と、それらをコンピュータ制御する操作盤から構成される。

初期冷却からTFコイルの励磁準備までは、コイル計測制御システムにより自動的に運転できるが、コイル励磁およびプラズマ制御を行う場合は中央制御から電源を直接制御するため、コイル計測制御システムはコイルの状態が最適になるように冷媒を制御するだけである。さらに、コイルがクエンチしそうな状態では中央制御に待機を要請しなければならない。それらすべてをコンピュータで自動制御することになる。

クエンチ検出法: 超伝導コイルの運転監視のなかで最も重要な機能がクエンチ検出である。強制冷却コイルのクエンチ検出は、原研で行われた実証ポロイダル・コイル計画[1]で開発された方法を用いる。クエンチ検出を確実なものとするため、電圧法、流量と圧力の3段階で検出する。TFコイルの電圧法は、コイルが約30mmほど面外力で倒れるため、プラズマやPFコイルとの相互インダクタンス結合が発生し、通常のブリッジ方式では補正が困難であるため、導体に沿った共巻電圧タップを用いて補正する。PFコイルは、導体が2条巻であるため2本の導体を用いたインダクタンス補正[2]で十分な精度が確保される。

また、流体法によるクエンチ検出では、流量計測のために、約700本の細い導圧管を引出すことによるリークに対する信頼性と、350個の極低温差圧発振器に取付ける小型な電流導入端子(セラミックス製)のリークに対する信頼性が同等と考えられるため、差圧発振器を極低温に置いたほうが組立てが簡素化でき有利である。そのため、極低温用差圧発振器が新たに必要となった。

クエンチ検出の最後手段である圧力検出はクライオスタットの外に置かれたコイル端子箱で、コイルに接続した冷凍配管の圧力上昇を常温で測定するため信頼性は極めて高いと考えられる。

図1 ITER超伝導コイルの計測系統図

【参考論文】
[1]低温工学、Vol. 24, pp.276-282, (1989)
[2]IEEE, Tran. on Mag. Vol. 23. No.2, 1693-1696, (1987)

発表予定: 第58回 1998年度春季低温工学・超電導学会、 5月20日、湘南工科大学

Email: yoshida@naka.jaeri.go.jp