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ITERコイルの電気絶縁方式と監視法

吉田 清、飯田文雄 ITER-EDA Naka Joint Work Site (原研)

はじめに: ITER用超伝導コイルのような巨大な磁気エネルギーを蓄積したインダクタンスの短絡は、コイルに甚大な損傷を与える危険性が高い。そのため、コイル巻線内の短絡を避けるために、ターン間絶縁を二重にした巻線構造を採用し、絶縁物の不良を検出できるようにした[1]。一方、給電線は放射性物質に対する第2閉込め容器でもあるクライオスタットを貫通して外部に連結するため、給電線での短絡事故はクライオスタットを破損する可能性が高い。そのため、給電線での短絡を防止する安全対策を以下に示す。

給電線での短絡事故: TFコイルの電気回路を図1に示す。コイルの地絡事故は電源に取付けた接地抵抗(GR)で保護されるため、非常に軽微な損傷(金属7.5g溶解)しか受けないので安全上の問題にはならない。しかし、コイル巻線や給電線は断熱真空中に置かれているため、真空度によっては距離に関係なく約160Vで放電するパッシェン現象が発生する危険性がある。そのため、給電線の両極の対地絶縁が同時に不良の場合に、コイルに電圧を加えると接地を経由した短絡が発生する可能性がある。特に、クライオスタットを貫通する給電線での地絡経由の短絡は、クライオスタットを破損する危険性が残る。

対地絶縁不良検出法: 巻線部から突起した高電圧部として、給電線や冷凍配管があり、それらの対地絶縁に図2に示すような二重絶縁と二重の電極を施工する。外層の電極は常に接地電位に保たれ(Rcg: 1 mΩ)、中間電極は通常は接地電位にある。万一、内層の絶縁が不良になると、限流抵抗(Rf: 50 kΩ)により外層の絶縁物に電圧が加わる。そのため中間電極から限流抵抗までの計測線は高圧になる場合があるが、限流抵抗から検出器までの計測線は常に低電圧に保つことができる利点がある。コイル系全体の接地抵抗(GR: 1 kΩ)の検出器(I1)の検出感度が数Aであるため、対地絶縁内層の不良を検出すためには別個に検出器(I2)が必要となる。

この対策により、給電線が地絡したコイルを使用し続けることは出来ないが、給電線で接地経由の短絡事故を未然に防ぐ設計が可能になる。PFコイルはモジュール化による冗長性[2]を使うことによって、交換修理せずに使用が可能である。

図1 TFコイルの電気回路と給電線の二重絶縁対策

図2 給電線の二重絶縁の概念図

【参考論文】
[1] 第56回 1997年度春季低温工学・超電導学会, 講演概要集、p. 238 (1997)
[2] 第55回 1996年度秋季低温工学・超電導学会, 講演概要集、p. 167 (1996)

発表予定: 第58回 1998年度春季低温工学・超電導学会、5月20日、湘南工科大学

Email: yoshida@naka.jaeri.go.jp