E2-32


磁気クロマトグラフィーの分離特性
湘南工大,電総研A,金材研B,東芝C,東大D
@清水道浩,荻原宏康,小原健司A,B,王暁丹B,岡田秀彦C,廣田憲之D



 我々の提案している磁気クロマトグラフィー(以下、MC)の優れている点は、(1)高勾配磁気分離では不可能とされていた弱い磁性の粒子を分離でき、従来型クロマトでは不可能であった大粒径の粒子の分析が出来ること、(2)放射線で劣化しない金属材料のみで構成できるので、二次廃棄物を排出しないことである。 前回我々は、MC実験装置の説明を行い、予備実験を2種類のカラムを用いて行った。その結果、磁場印加時に磁性の大きい粒子が遅れて流出することを示した。また、以下のようにカラム形状の違いによる性能の差を明らかにした。(1)円筒容器に磁性細線を充填したカラムは、耐圧に優れているので流速を速くできるが、遅れ時間が短く再現性が悪い。(2)断面が長方形で天井面と底面に磁性細線を流れ方向に平行に配列したカラムは、遅れ時間が長く再現性も良かったが、圧力に弱くあまり速い流速は得られない。 前回0.5Tの永久磁石を用いたので一定の磁場しか印加できなかった。しかし、印加する磁場を大きくすれば粒子に与える影響も大きくなると思われるので今回は、超電導磁石を用いて磁場を0〜3.5Tと変化させて流出液中元素の発光強度を測定し、濃度の経時変化を分析した。 実験方法としては、カラムに精製水を一定流量で流し、マニュアルインジェクターから30μlの試料(マグネタイト溶液)を注入した。次に、カラムに印加する磁場を変化させて発光強度を測定して濃度の経時変化を比較した。測定装置および結果は当日発表する。 本研究は、科学技術庁超伝導材料開発推進マルチコアプロジェクトの研究予算で実行された。