E2-31


磁気クロマト性能の数値解析:微粒子粒径分布の影響
金材研A,電総研B,東芝C,Chimera Technologies,Inc.D
王暁丹A,@小原健司A,B,岡田秀彦C,Evan R. WhitbyD



 我々は新しい超伝導磁石応用技術である磁気クロマトグラフィー(以下MC)を提案し、この実証研究を行ってきた。MCは、有用あるいは有害な数100オングストローム粒径の超微粒子を、磁気力を利用して二次廃棄物なしに分析する新しい分析技術として有望である。本報では、我々の行っている計算機シミュレーション手法を説明し、懸濁微粒子の粒径分布が与える定常粒子濃度分布への影響と、分離性能への影響の解析例を報告する。 実験の経験によって、懸濁液中の懸濁微粒子の粒径分布は対数正規分布で近似できる。我々は、微粒子の粒径分布を有限個の離散粒径区分に分け、微粒子の総数をこれらに割り当てる手法を採用した。各区分の微粒子のMCシステム中での振る舞いを別々のスカラー変数でシミュレーションした。そのシミュレーション手法は前報の単一粒径の場合と同じである。 平均粒径が100オングストロームと300オングストロームの場合について定常シミュレーションを行い、定常粒子濃度分布の様子を計算した。その結果、何れの場合でも、粒径分布のある場合の粒子トップ濃度は単一粒径の場合より高いことが分かった。さらに、いろいろな流速における非定常シミュレーションの結果、(1)単一粒径の場合と比べて、粒径分布のある場合の分離性能が、流体流速と関係なく常に劣っていること、(2)しかし、流体流速の増加によって、両方の性能差は小さくなることなどを明らかにした。これらの結果の背後にある現象のメカニズムを、磁気力の作用原理に基づいて考察している。 本研究は、科学技術庁超伝導材料開発推進マルチコアプロジェクトの研究予算で実行された。