E2-29


YBCOゾル−ゲル膜を用いたコプレーナフィルタの開発
山口大学工学部
@金谷晴一,兼行智彦,妹尾英博,粟井郁雄


 高温超伝導体を適用することにより、低損失の高周波回路素子が構成可能となる。筆者らはこれまで、Sol-Gel法によるYBCO膜の作製及びコプレーナ線路(CPW)共振器について検討を重ねてきた。今回その応用として、両端開放形CPW共振器を適用した高温超伝導通過帯フィルタを構成し、その特性について評価を行った。まず、25×25mmの基板上に2段のYBCOフィルタの回路パターンを作成し低温での伝送特性を測定した。なお、完全平面型構造のフィルタを得るため、給電部はインターディジタル型キャパシタにより構成した。その結果30Kにおいて中心周波数2.10GHz、比帯域幅4.1%、82.2MHzで挿入損失1.08dBであり、入出力線路部及びコネクターの損失を含んでいることを考慮すると良好な結果が得られた。さらに、フィルタの特性のさらなる向上を目指して、通過域近傍の任意の周波数への減衰極の実現、及びフィルタの多段化等の検討を行った。