D3-5


V3Gaテープ線材におけるJcのピーク効果と正のJc-温度依存性(dJc/dT>0)
金材技研,CRESTA
@竹内孝夫,田川浩平A,和田仁



 700℃を越える比較的高温で拡散生成させたV3Gaテープ線材では、柱状の結晶粒がテープ面に垂直に成長する。テープ面に平行と垂直に磁界を印加した場合を比較すると、垂直磁場の時に、ローレンツ力方向への結晶粒界密度が高くなるためピンニング力が大きくなる。しかし、平行磁場でも高磁場にするとJcが却って増大するいわゆるピーク効果を示すので、高磁界領域では結晶粒の異方形状に起因するピンニング力の異方性が消失する。最近、我々は磁場の強さ、磁場の方位、温度をパラメータにしたJcの臨界面を精密に決定する努力を続けている。その結果、平行磁場のとき、Jcが谷間から頂上に向かう磁場領域でJcの温度依存性が通常とは反対に正になる(dJc/dT>0)領域が存在することを見出した。さらにこの磁場領域では、磁場方位のずれがわずか数度の平行磁場のときにJcが数割も鋭く立ち上がる、特異な磁場方位依存性も示す。これらの現象はこれまで未解明であるV3Gaの高磁界側ピンニング機構を解くカギになると期待される。