D1-14


極低温熱伝導率の磁場効果
金材技研強磁場
@沼澤健則,佐藤明男



 科学技術庁知的基盤推進研究の一環として、極低温熱物性データベースの構築を試みている。本講演はその一部として、極低温領域で磁場によって特異な挙動を示すいくつかの興味ある物質の熱伝導率測定結果と解析結果を発表する。一例として、希土類ガーネット系の単結晶を取り上げる。これらの単結晶の熱伝導は主としてフォノンによって担われるが、磁場を印加することによりエネルギー準位が変化し、その際にフォノンを共鳴的に吸収する物質が存在する。この場合、熱伝導率は大きく低下するが、エネルギー準位のパターンによっては上昇するケースも観測されている。また、結晶構造転移によるヤーンテラー効果でも熱伝導率の変化が磁場との相関で観測されている。講演ではいくつかの酸化物単結晶を中心に、これらの現象を整理し、熱伝導率のデータベース化について議論する。