概要
E2-20
近年、高温超伝導体(HTS)フィルタの研究開発が盛んである。移動体通信(0.8〜2GHz)や衛星通信(3〜14GHz)の普及により、今後更なる周波数帯の不足を招く事が予想され、通信基地局においては、低損失でかつ狭帯域のフィルタの実現が必須となる。このフィルタにHTSを用いると表面抵抗が周波数の2乗に比例するために、10GHz帯に比べて1GHz帯では損失が100分の1に減少するので低損失効果が期待される。Y系の高周波特性については多方面で研究されているが、より安価なBi系2223相バルク体の結果はあまり報告されていない。 そこで我々は、Bi系2223相バルク体の高周波フィルタへの応用について研究する。バルク体は、仮焼粉をCIP成形し、焼結の合間にプレスをする事により作製された。完成したバルク体の高周波特性については、TE011モードを用いた誘電体共振法(Hakki & Colemann法)で共振周波数を10.7GHzとして行なった。この測定により、共振系の負荷Qの温度依存性を得、これより無負荷Q(Qu)、表面抵抗(Rs)を算出した。その結果、Bi系2223相バルク体が、Y系バルク体よりも各特性が優れている事がわかった。 さらに、表面及び内部をXRD等で評価したところ、まだ完全な2223相に転移していない事がわかり、今以上のデータが出る可能性があると考えられた。