概要
E1-25
Bi-2223高温超伝導体の高Jc化のためには、2223相の結晶配向することが 必要である。AgはBi系の超伝導相に悪い影響を及ばさないので、Agを利用して AgシースのBi-2223線材、テープ材などの作製に成功したが、(Bi,Pb)-2223相 の生成および配向性に及ぼすAg基板の影響は明きらかにされていない。本研究 では半溶融・焼結における(Bi,Pb)-2223相の生成および結晶配向性に及ぼAgお よびMgO基板材料の影響を検討した。原料粉末をBi1.8Pb0.4 Sr1.9Ca2.1Cu3.5Oy組 成になるように混合、仮焼、粉砕を行い、圧粉成形により2×3×15mmのバル試 料を作製した。これらの試料をAg、あるいはMgO基板上に乗せ875℃、1時間半 溶融し、それから840℃、240時間焼結した。得られた試料のAg、MgO基板に接 した界面層での2223相の生成量及び配向性をX線回折パターンのピーク強度に よって評価した。 その結果、c軸配向した(Bi,Pb)-2223相はAg基板に接触した表面層でより 優先して生成し、配向度と2223相の生成割合はAg界面からの距離が増加するに 従って減少した。配向性の良い2223相はMgO基板に接触した界面に存在したが、 2223相の生成割合は逆にMgO界面から離れるに従って増加した。Ag基板は半溶 融・焼結の間のBiとPbの蒸発を抑え、超伝導相の融点を下げ、そのため(Bi,Pb)- 2223相が生成し易いと考えられる。