通商産業省 工業技術院 機械技術研究所 ○中納 暁洋、白石 正夫
実験及び解析
実験で使用したサーモサイフォン本体を図1に示す。加熱部、断熱部、凝縮部の長さはそれぞれ、75mm、35mm、160mm、全長270mm、内径は8mmという仕様で、凝縮部は銅製、断熱部、加熱部はステンレス製である。加熱部は肉厚0.3mmのステンレス管で、銅ブロックに覆われており、この銅ブロックがシースヒーターにより加熱される仕組みになっている。蒸気温度はサイフォン内の断熱部に挿入された熱電対により測定され、加熱部及び凝縮部の内壁面温度はそれぞれに取り付けられた16個、8個の熱電対の測定値を用いて算出した。
実験では、凝縮部壁温を一定に保ち熱入力値を変化させることにより作動限界
を探った。なお、加熱部に対する液体封入率は100%に統一した。図2は凝縮部壁温を約114Kに保ち、熱入力値を変化させた時の軸方向温度分布を示す。凝縮部の温度分布は各熱入力値に対して一様な温度分布を示していることが分かる。それに対し加熱部は熱入力値が増加するに従い、はじめは一様な温度分布を示しながら、温度が全体的に上昇して行く。更に、加熱量を増やして行くと、やがて加熱部下部でヒートスポットが形成されるが、作動自体は安定に行われる領域が存在することが確認された。続けて更に加熱量を増やして行くと、ついには限界に達する事が観測された。