概要
E2-34
最近の使い易い強磁場発生用の超伝導磁石の応用技術として、磁気クロマトグラフィー(以下、MC)を提案する。これは磁気力を物質分離に利用するので磁気分離の一手法として分類できる。しかし、従来型とは異なり、磁気力による懸濁微粒子の濃度分布と、流体の粘性力に起因する流速分布を利用して、種々の微粒子に流れ速度の違いを生じさせる原理に基づく分離方法である。したがって、従来型磁気分離では分離不可能な微細な粒子をも分離できる可能性を有する。 我々は、流体の流れ場、高勾配磁場の分布が微粒子へ作用する磁気力、微粒子の拡散という、MCの三要素を考慮して、微粒子の非定常分布を時間の関数として解析した。このMCシミュレーションにより、我々は、MC性能に大きく影響を与える三つのパラメータ(流体速度、チャンネル長さ、磁場の強さ)の性状を定量的に明らかにした。さらに、高勾配磁場の発生に用いる強磁性細線の配列の違いによっても、MC性能が変化することを明らかにした。これらの知見は、MC設計に有用な示唆を与える。