概要 E1-13
REBa2Cu3O7-y超電導体(RE=Sm,Nd, etc)の臨界電流密度(Jc)には1〜2Tにおいてピーク効果を持つということはよく知られている。しかしながら、このピーク効果を持つ為の磁束のピンニング機能については臨界温度(Tc)の低いREとBaが置換された超電導体の存在や転移、酸素欠損の影響等がピンとして機能していると考えられているが、はっきりとした論証はまだ見つかっていない。
   本研究ではSm1+XBa2-XCu3O7-y超電導体のJcのピーク効果を生み出すピンニング機構の可能性を示してみる。今回は以下の3点について考察する。(1) Sm1+xBa2-xCu3O7-yバルク焼結体においてxの値の変化によるピーク効果の影響(2) 酸素アニール時間変化におけるピーク効果への影響(3) 酸素量変化におけるピーク効果への影響
作製したサンプルの結晶構造を粉末X線回折、透過型電子顕微鏡で、微構造と組成を走査型電子顕微鏡で調べた。また、このサンプルをSQUID磁束計によってTc及び磁化-磁場特性を測定し、Beanモデルを用いてJcを計算した。
   この結果、x=0.00〜0.50と組成を変化させて0.1%O2/Ar雰囲気中900℃、40hシンタリングして、O2アニール500℃、40hのサンプルにはいずれもピーク効果の観察ができることが判った。これをもとに、ピンニング機構の可能性を検討する。