概要
E1-22
スクリーン印刷法は試料のパターン化が容易で均一な特性の試料が得られる製膜法として知られており、工業応用に適した超伝導厚膜を作製することができる。これまでに我々は、スクリーン印刷と一軸プレス加工及び中間熱処理を組み合わせたAg-Bi2223テープの作製を行ってきた。本研究では作製プロセスの最適化を行うため、プレス加工の際のプレス荷重を変えて試料を作製した。その結果、プレス荷重を2.3GPaとして作製した試料において臨界電流密度Jc=20,000 A/cm2という値が、直流四端子法(77K,0T)によって得られた。これはスクリーン印刷Bi2223テープでは今まで報告された中で最も高い値である。ホール素子走査により試料を非破壊的に評価することを目的として、液体窒素温度における試料の自己磁場測定を行った。 実験では、100 Gaussの外部磁場を印加した後、磁場ゼロの状態にし試料表面における残留磁場分布を走査型ホール素子を用いて評価した。単純化された電流経路を超伝導コア内に仮定し、ビオ・サバールの法則を用いた電磁気学的考察から導かれる電流値と既知のコア形状からJcを求めた。その結果、Jc=15,000 A/cm2 という直流四端子法の結果より2.5割低い値が得られた。我々はこの原因がスクリーン印刷Bi2223テープのJcが示す磁場に対する履歴現象によるものであることを明らかにした。