概要
A3-5
高エネルギー物理学研究所で建設が進められている KEK-B 大電流電子-陽電子衝突型加速器 ( 8 GeV x 3.5 GeV ) では、電子ビームの加速用に 500 MHz の Nb製の超伝導加速空洞の使用が計画されている。これら超伝導加速空洞は KEK のトリスタン衝突加速器では約 7 年間の安定した運転により、その実用性が証明されている。ところが、現在、建設が進められている KEK-B はトリスタンに比べて約 100 倍の電流のビームを加速するために、それに起因する高周波特性の劣化か問題となる。そこで、これらの問題点を調査するために、トリスタンの蓄積リング AR に KEK-Bのプロトタイプの超伝導加速空洞を設置して、大電流ビームの加速試験を行った。冷凍温度 4.3 K での冷凍負荷約 200 W の超伝導空洞を冷却運転するため、新規にヘリウム冷凍システムを設計製作して、総計約 5 カ月間の冷却運転を行い。無事終了し、超伝導加速空洞が大電流ビームの加速に非常に有効であることを実証した。本ヘリウム冷凍システムの構成と運転について報告する。