概要
C1-5
臨界電流密度がゼロのなる不可逆磁界はピンニングの強さを強くすることで改善出来ることは既に明らかにされている。また不可逆磁界は超電導体のサイズにもおおきく依存することが知られている。これは、一般に不可逆磁界を決定するピンポテンシャルが磁束バンドルの体積に比例することから説明される。例えば、薄いサイズの超電導体ではそのサイズに磁束バンドルの体積が制限されるため、クリープの影響を受けやすいことに起因する。特に薄膜のような超電導体で、その膜圧が磁束線の弾性相関距離ι44より小さい場合に不可逆磁界の値が小さくなることが報告されている(1)。であれば、金属超電導体でも細いフィラメントをもつ極細多芯線ではバンドルサイズが制限されると考えられる。SQUIDを用いた測定でフィラメント径の異なる2種類の試料を計測した。その結果、不可逆磁界は確かに計測されたが、計測した実験値と解析値で特に臨界温度に近い高温度領域付近での不一致が現れたこの原因として、臨界温度の分布、上部臨界磁場の分布等を前回報告した(2)。今回はこれらを考慮した解析結果について報告する。詳細については当日報告する。
(1) N. Ihara et al Physica C 257 (1996) 223(2) 松岡 浩史 他 第55回低温工学・超電導学会講演概要集 C1-3