概要
D1-3
SUS316鋼母材および溶接金属部での疲労き裂伝播速度を7Kで測定した。応力比を0.1とし、伝播速度を応力拡大形数範囲で整理した。母材、溶接継手ともにCT試験片を用いて実験を行った。母材試験片では疲労き裂を板厚方向に伝播させた。溶接継手試験片は未溶着部を有する溶接継手から切り出し、未溶着部先端からTIG溶接金属に向かって疲労き裂を伝播させた。(溶接継手試験片では溶接後熱処理を全く行っていない。) その結果、母材では従来から公表されているSUS316鋼母材の4Kでの結果とほぼ同じ結果が得られた。溶接継手試験片では、母材の伝播速度に比べ、大変小さな値となった。これはき裂前端部(溶接ルート部)に存在する圧縮残留応力によるものと思われる。