概要
C3-2
近年、電力需要は堅調な伸びを示しており、今後もその傾向は続くと予想されている。これに対応するため、電源設備や送電設備の新設や改修により送電容量の増加が計られているが、それに伴い電力系統の短絡電流が増加する。そこで、短絡故障電流を遮断器の遮断容量以下に抑えるための超伝導電力機器として注目されているのが、超伝導限流器である。 超伝導限流器の導入形態についてはいくつか提案されているが、そのうち送電線の両端に遮断器と限流器を併設する形態については、限流器の動作開始電流値にかなりの精度が必要であることが明らかにされている。しかし、現在提案されている各種の超伝導限流器ではその精度を実現することは困難であると考えられる。 そこで今回、動作開始電流値の精度を実現するため、製造後にその調整が可能な超伝導限流器を設計・製作を行った。この超伝導限流器の基本構造は限流動作後の復帰特性などを考慮して変圧器型とした。また、1次コイルと2次コイルとを同軸円筒状に配置して、コイル間の磁気的結合度を変えることにより動作開始電流値の調整を可能とした。設計については、電気設計に中心を置き熱設計・機械設計については簡単な考慮を行うのみとした。 また、試作した超伝導限流器を用いてその動作原理を検証する実験を行った。この実験では、限流器のインピーダンスと動作開始電流値の測定を行うとともに、送電線の事故とその際の遮断器動作の簡単な模擬を行い、限流特性と復帰特性の確認を行った。詳細な内容については、本文を参照されたし。