半溶融ー空冷ー焼結によるBi系超伝導相の生成と配向性

 Bi-2223高温超伝導体の高Jc化のためには、2223相の結晶配向することが 必要である。前報において半溶融ー焼結により、Bi-2212相からBi-2223相の生 成と配向性を調べたが、今回は半溶融ー空冷ー焼結におけるBi-2201相からBi- 2223相の生成成と配向性について検討した。原料粉末をBi1.8Pb 0.4Sr1.9Ca2.1Cu3.4Oy 組成になるように混合、仮焼、粉砕を行い、圧粉成形により2×3×15 mmのバル試料を作製した。これらの試料をAg板上に乗せ875℃、1時間半溶融後、 室温まで空冷した。その後、再び840℃で種々時間焼結した。得られた試料の結 晶構造、顕微鏡組織、結晶配向性及び各相の生成量をX線回折、帯磁率測定、 SEM、EDSにより解析した。その結果、875℃で半溶融後室温まで空冷した試料で はc軸配向したBi-2201相、(Sr,Ca)2CuO3、(Sr,Ca)Cu O2が表面層に存在した.その後の焼結時間の増加によるBi-2201相と (Sr,Ca)2CuO3、(Sr,Ca)CuO2の固相反応に より、 Bi-2201→Bi-2212→Bi-2223相の生成する過程を観察すると、Bi-2201相 がc軸配向していれば次に生成したBi-2212相とBi-2223相も配向することがわ かった。また、c軸配向した表面層の厚さはBi-2201相の場合は薄く、焼結時間 の増加にしたがいc軸配向したBi-2212相、Bi-2223相の表面層の厚さはしだい に増加することがわかった。