近年、高温超伝導体(HTS)フィルタの研究開発が盛んである。移動体通信(0.8〜2GHz)や衛星通信(3〜14GHz)の普及により、今後更なる周波数帯の不足を招く事が予想され、通信基地局においては、低損失でかつ狭帯域のフィルタの実現が必須となる。このフィルタにHTSを用いると表面抵抗が周波数の2乗に比例するために、10GHz帯に比べて1GHz帯では損失が100分の1に減少するので低損失効果が期待される。 そこで我々は、Bi系2223相バルク体の高周波フィルタへの応用について研究する。バルク体は、仮焼粉をCIP成形し、焼結の合間にプレスをする事により作製された。今回は、焼結温度の違う試料を作製して、各試料についての評価を行う。 完成したバルク体の高周波特性については、TE<SUB>011</SUB>モードを用いた誘電体共振法(Hakki & Colemann法)で共振周波数を10.7GHzとして行なった。この測定により、共振系の負荷Qの温度依存性を得、これより無負荷Q(Qu)、表面抵抗(Rs)を算出した。さらに、試料表面をXRD等で評価を行い、グレインの状態、相転移の状態と高周波特性間の関係について考察する。