溶融法により作製したY123超電導バルクの圧縮弾性率と微細組織の関係
溶融法により作製したc軸配向Y-Ba-Cu-Oバルク超電導体を一軸加圧し、結晶構造、結晶方位の応力−歪み特性に及ぼす影響について調べ、微細組織との関係について調べた。YBa2Cu3O7-d(Y123)のc軸に垂直に応力を印加した場合、正方晶、斜方晶ともに、歪みは印加応力に比例して変化した。それに対して、c軸に平行に応力を印加した場合は、初期に歪みの大きい領域が存在した。この領域は正方晶の試料において顕著にみられ、また、123相中にトラップされている211相の量が多いほど初期歪み量が大きくなった。微細組織観察の結果、211相の量が多い試料はc軸と平行に多量のマイクロクラックを含んでおり、このクラックの存在により、初期に大きな歪みが生じたものと思われる。本研究の一部は、新エネルギー産業技術総合開発機構から委託を受けて実施したものである。