銀シースBi2223超伝導単芯テープにおけるJcの分布 II

 前回の学会で銀シースBi2223超伝導単芯テープ線材を用いて走査型ホール素子によって測定された磁場分布から,コア端部のJcが最も高いという報告をした。今回我々は試料内部でJcの分布が生じる原因を明らかにするために,光学顕微鏡,SEMなどを用いて試料内部の微細構造を調べた。その結果,コア端部でJcが高かった試料では中心部に比べ端部の方がグレインがよく成長していることが分かった。このことから,グレインは銀とコアの界面から成長するためJcの分布が生じるのではないかと推測される。また,磁場分布測定から試料内部のJcがほぼ均一と思われる試料を用いて,先に述べた試料との違いを調べた。その結果,Jcがほぼ均一な試料は長手方向断面にソーセージングが見られた。銀と超伝導コアの界面付近で高Jcが流れていると仮定すると,ソーセージングが銀とコアの界面付近のJcを抑制し,Jcの分布がなくなったのではないかと考えられる。