核融合炉用超伝導マグネットを始め,極低温で使用される機器を設計するには,パルス運転等によって接触面に生じる摩擦特性を知る必要がある.しかしながら,摩擦特性に大きな影響をもたらす材料の硬さ特性については,極低温中において十分に知られていない.以前調べたオーステナイト系ステンレス鋼では,70K付近で硬さが上昇する特徴が見られた.これは70K近傍で材料の塑性変形プロセスが転位のすべり変形から双晶変形へ遷移したためと考えている.本研究では,この現象が他の材料でも生じるのかどうか確認するため,代表的なFCC,BCC,HCP結晶構造を持つ純金属Ni,Mo,Tiの硬さ特性を4Kから260Kまでの温度領域で調べ,硬さの温度依存性について検討を行った.