1K以下を発生する冷却技術として磁気冷凍や超流動スターリングサイクルを検討している。これに使用する磁性体は1K以下に磁気転移温度を有し、かつ熱容量が広範な温度範囲で大きく、磁気熱量効果も得られなくてはならない。GdGGガーネットはこれらを満足する磁性体として用いられてきたが、比熱のピーク温度が0.9K付近にあり、0.5Kレベルを発生するには十分ではない。一方、DyGGは磁気転移温度が0.35Kあるが比熱の温度依存性が非常にシャープに変化するため、0.5K以上で利用できる熱容量が非常に小さい。GdGGは例外的に1K以下で大きな熱容量を有するが、これは最近、フラストレーションによる短距離的な磁性相互作用によることが明らかとなってきた。本研究ではこのような巨大なエントロピーを維持し、かつピーク温度を低下させるためにGdの一部をDyで置換した磁性体を作製し、磁性体内部に長距離的な相互作用を発生させることを試みた。その結果、約25%のDyで置換したとき、ピーク温度0.6Kが得られ熱容量がほとんど減少しない磁性体を見いだした。