大型の低温機器の冷却において冷却時間を短縮するためには,冷却流路の圧損の制限から並列冷却流路を選択せざるを得ない.しかしながら,低温機器の冷却においては,温度の低い方の密度が高くなり粘性係数が小さくなるために,先に温度が低下した流路にはより多くの冷媒が流れて益々温度差が拡大する不安定性が存在する。この不安定性を抑制するためには並列流路間の熱伝導を大きくすれば良く,例えば積層コイルの場合には,問題となるような温度不安定性は現れないことが実験的に示されている.本研究は並列流路の温度不安定性と流路間の熱伝導の関係を明らかにすることを目的としている.簡単な問題として冷媒にガスヘリウムを使用する場合に熱侵入量の異なる並列冷却流路の平衡温度の計算を行ったので,その結果について報告する.