超電導撚り線導体の転流とクエンチ挙動

 核融合実験装置やSMESなどの大型超電導磁石装置には、CIC型導体(Cable in Conduit Conductor )が適用される。数十kA級のCIC型導体は、数百から千数百本の超伝導素線を撚り合わせすことにより構成されている。この種の導体においては、素線間を電気・熱的的に接触させることで、転流による安定性向上を期待する構造を採るのが一般的である。しかし,どの程度の接触で転流による安定性向上の効果が得られるかについては定量的に明らかにされていない。 これまでに、実験的・解析的手法により、超電導撚り線導体における転流を伴う安定性評価がなされてきた。しかし、実験においては、1)素線間接触コンダクタンスや2)素線間接触熱抵抗などの不確定パラメータが存在し、解析結果と比較評価できないのが現状である。本研究では、3本撚り線導体から成る安定性評価サンプルにおいて、接触面圧を可変とし、素線間接触コンダクタンスを実測した上で安定性評価実験を行った。