最近の超伝導大型マグネットの励磁試験の結果から、素線間の結合時定数に非常に長いものがあるということが報告されている。この長時定数は、導体の最終ツイストピッチに対応する時定数よりも長く、従来の考え方では説明できないものである。その存在は、実際のマグネットを運転した際、短尺試料の損失値から予測した交流損失に比べ、数倍またはもっと大きくなり得ることを示しており、実用上極めて重要な問題になる。この原因について我々は、より線導体の素線間に誘起する結合起電力が、より乱れに起因してツイストピッチ毎に不均一になることに着目し、この影響が導体の長手方向に遠くまで及び、その結果長時定数の結合損失を発生させると考えた。この考え方を基に、2本よりのモデル導体に周期的に乱れが起きた場合を想定し、解析解を求めた。今回はこの解析結果と、乱れを付けた実際のモデル導体の損失測定の結果を報告し、より乱れと素線間結合損失の関係について議論する。