音波共鳴管の吸収曲線を測定した。共鳴管は一様な太さの管とマイクロフォンとスピーカーとからなる。スピーカーもマイクロフォンもピエゾ素子製である。共鳴管内の気体は室温大気圧の空気、窒素、アルゴン、ヘリウムである。管の一端をマイクロフォンで閉じ、スピーカーは可動ピストンにとりつけられているので共鳴管の長さを変えることができる。スピーカーの駆動電圧と周波数とを固定し、共鳴管の長さを変化させて、マイクロフォンの出力電圧を測定した。こうして得られた吸収曲線を解析すると、共鳴管中でのエネルギー散逸は、長さによらない散逸と長さに比例する散逸とからなることが判明した。長さによらない散逸は閉端での反射率が有限であることを反映し、長さに比例する散逸は管壁の効果であると解釈した。長さに比例する散逸を熱音響理論の結果と比較すると、粘性散逸のみならず管壁との熱交換による散逸を含めることにより、両者にはよい一致が見られた。従ってこの実験は熱音響理論を定量的に支持している。