この数年、熱音響理論に基づく数値解析が行われパルス管の冷凍性能についての定性的な評価が計算と実験が一致することは周知の通りである。熱音響理論ではパルス管の熱流動を、振動流の観点から微小振幅と仮定し流体の支配方程式を線形化し解かれる。一方、現在の高性能パルス管冷凍機の開発においては、非線形の熱流動がその冷凍性能を支配することが多く、より正確な現象の把握が求めれるようになって来ている。 この論文では以上の経緯から実際の非線形な流動を再現することを目的とし、軸対称二次元流の圧縮性ナビェストーク方程式の直接数値解析を行い、パルス管内部の熱流動現象をシミュレーションした結果についての報告を行う。 解析では、パルス管冷凍性能の周波数応答やその寸法への依存性等について実験との比較による計算の妥当性の検証を行い、またパルス管中心対称軸から壁面近傍を通る高温部から低温部へ流れる二次的な旋回流の存在についても確認がなされた。