面内配向度(Jc)が異なる2種類のc軸配向多結晶YBCO薄膜について、磁界中の抵抗遷移、ならびに、混合状態の電流−電圧特性を詳細に測定した。いずれの試料についても、粒間の電流輸送領域で、電流−電圧特性が磁束グラス−液体転移で期待されるスケーリング則を示すことがわかったが、スケーリングから得られる指数は単結晶薄膜の値と大きく異なっており、むしろ、単結晶薄膜からサブミクロン程度の幅に加工したストリップに対して得られた結果と一致することを見いだした。また、境界温度Tg(H)はバルクの多結晶YBCOより著しく高く、さらに、これまでに報告されている単結晶薄膜の値に近いことがわかった。以上から、粒間の輸送特性は、面内配向の度合いに関わらず、弱結合ではなく粒間と同程度の強い結合のパスに支配されていることが示唆される。