高温酸化物超電導体であるRE1+xBa2-xCu3Oy系超電導体 ( RE 123: RE=La,Nd, Sm ,Eu ) はRE3 +とBa2+のイオン半径が近いために、RE3+がBa2+サイトを置換してしまい臨界温度(Tc )が低下してしまう。最近、低酸素分圧下で溶融法を用いて結晶成長させると、RE3+のBa2+サイトへの置換が抑制され、優先的にhigh Tc 相が生成され高い臨界温度(95〜96K)が得られると報告されている。しかし、いまのところhigh Tc 相の組成はまだ明らかにされていない。そこで本研究では、臨界温度のx依存性を調べることを目的とする。いままでx≧0の組成においてたくさんの報告がなされたがx<0の組成においての報告はされていない。そこで本実験では固溶系Nd1+xBa2-xCu3Oy 超電導体を―0.25≦x≦+0.10までxを0.05おきに試料を作製し、酸素分圧を変えて焼結させた試料を超電導量子干渉型磁束計(SQUID)と粉末X線回折装置(Powder XRD)により評価し、異なる酸素分圧下における超電導特性のx依存性について考察し、Ba2+のRE3+サイトへの置換、つまり固溶系Nd1+xBa2-xCu3Oyの相互固溶の可能性について報告する予定である。