Nd-Ba-Cu-O/Ag溶融バルクの大気中における作製と磁気特性

 イオン半径の大きいRE(La,Nd,Sm,Eu)ではRE3+とBa2+のイオン半径が近いために、大気中でRE-Ba-Cu-O超電導体を作製すると、RE-Ba間の置換が起こり、臨界温度(Tc)が低下してしまう。また、Nd系では融点が高いために適当な種結晶がなく、大型結晶粒を作製することが困難であるという問題点がある。   Nd系では、第2相のNd4-2zBa2+2zCu2-zO10-yの組成をBa過剰にすることで大気中でも高Tc相を成長させることができる可能性がある。   また、Ag添加により超電導相の晶出温度が低下することから、Ag無添加の同系のバルクを種結晶として使用すると、大型結晶粒を作製できる。   そこで本研究ではNd123にBa-rich Nd4-2zBa2+2z Cu2-zO10-yであるNd3.7Ba2.3Cu1.85O10-yを過剰添加したものに、Ag2Oを添加したものを実験の前駆体とし、種結晶にAg無添加のNd123を用いて大気中で結晶成長させた。   結晶成長を行った結果、結晶が種結晶から成長し、9×9mm2の単一粒結晶が 得られた。臨界温度のオンセットは91Kであった。