Bi系Ag-BSCCOテープ線材は電力ケーブル等への応用が検討されている。比較的大きな変動横磁界が線材に印加されるような応用の場合、フィラメントを細線化し、きついツイストを施すことで交流損失の低減が試みられているが、フィラメント間のブリッジングが起き、期待された程の効果は出ていない。一方、線材にほとんど自己磁界のみ印加されるような応用の場合、外部磁界効果による輸送電流の一様化が期待できず、線材内の全てのフィラメントがあたかも一つの大きなフィラメントとして振る舞い、通電損失が大きくなる。そこで、本研究では短いツイストピッチでもブリッジングを減らす効果が期待できる新しい線材製造法を提案する。さらに、この方法を応用して輸送電流の一様化を達成し、通電損失の低減を図ろうとする新しい線材構造を提案する。特に後者に関しては、電流分布特性および通電損失特性の理論的解析を報告する。