酸化物超伝導テープ線材は電力ケーブルをはじめ電力機器などへの応用が期待されている。それらの応用の際、線材は輸送電流と磁界の様々な環境にさらされることになり、大きな交流損失が発生する。この損失の測定法としては、従来より交流四端子法やスパイラル状電圧端子法が報告されている。前者はテープ表面につける電圧端子の位置や形状により測定値が影響を受ける。後者は前者の測定法を改良したもので、その問題点を克服している。しかしながら、いずれも輸送電流と磁界の様々な環境下での交流損失測定法としては一般的でなく使用条件が限られている。そこで本研究では、より一般的な環境下でのテープ線材の交流損失を測定する方法として、ポインチングベクトル法による新しい方法を提案した。さらに、Bi2223銀シース線材を用いて交流通電損失をはじめ、いくつかの使用条件下での測定を行い、本測定法の有効性を確かめた。