Bi2212/Ag テープ導体のフラックスフロー状態における電流電界特性

 本研究では酸化物超電導線のフラックスフロー状態における電流電界特性を調べ、金属系超電導線のそれと比較した。試料としては印刷法で製作したBi2Sr2CaCu2O8+δ銀基板テープを用いた。比較のための金属系超電導線には高抵抗マトリクスの交流用超電導線を用いた。これらを液体ヘリウム及び液体窒素に浸漬して直流通電を行い、電流電圧特性を得た。その結果、液体窒素に浸漬した酸化物超電導線ではIcの10倍程度通電しても金属系超電導線に見られるようなクエンチは見られず、電流に対する発生電圧の勾配が緩やかになる傾向が見られた。しかし、銀基板への分流を考慮すると酸化物超電導体と金属系超電導体のフラックスフロー特性には本質的な差異はみられないことがわかった。