J-PARC大強度中性子源の液体水素循環システム用ヘリウム冷凍機の性能劣化
- 性能劣化を誘発する差圧上昇に関わる要素試験 -

Performance degradation of helium refrigerator for liquid hydrogen circulation system of J-PARC high intensity neutron source
- Element test related to increasing differential pressure, which might cause performance degradation –


勅使河原 誠, 麻生 智一, 長谷川 勝一, 武藤 秀生, 青栁 克弘, 高田 弘, 池田 裕二郎 (原子力機構)


Abstract:J-PARCの大強度中性子源では、液体水素減速材で冷中性子に冷却するため、液体水素循環系とヘリウム冷凍機から成る2元冷凍システムを用いる。2015年からヘリウム冷凍機内の熱交換器と内部吸着器で圧力損失が増加し、冷凍機の冷却性能が低下し、運転に支障を来す状態となった。圧力損失を引き起こす要因として考えられるヘリウム冷凍機内への不純物の混入や圧縮機からの油の混入は、さまざまな分析を行った結果、設計で許容された値以上のものは観測されなかった。唯一、内部吸着器内の活性炭を飛散しないよう両端に配置したフェルト材の入口側表層に膜状の油の蓄積が見られた。内部吸着器が低温状態に移行する過程で、フェルトに付着した膜状の油が固化することによって、熱交換器-内部吸着器間の圧力損失を引き起こす要因になったと考えられる。
本件では、フェルト材に油を付着し、低温状態に移行することによって圧力損失発生の要因と成り得るのか実験的に調べた結果について報告する。