磁気分離法を用いた放射性物質の土壌からの除去に関する研究

Study on Decontamination of Radioactive Cesium from Soil by Magnetic Separation System


西嶋 茂宏, 秋山 庸子, 三島 史人 (阪大)


Abstract: 本研究では,原子力発電所事故によって放出された放射性物質のうち,特に問題になっているセシウムを対象として,高速大量処理が可能な,超電導磁石を用いた磁気分離法の土壌除染への適用可能性を検討した。
 磁気分離法を用いた土壌の除染法として,次の手法を提案した。まず放射性物質で汚染された土壌,特にセシウムを強く吸着すると報告されている粘土を土壌より分離する。続いてこの粘土より水中にセシウムを溶出させる。さらに溶出したセシウムを,強磁性を付与した吸着剤に吸着させる。その後この強磁性吸着剤のみを選択的に磁気分離法を用いて回収することで,放射性物質を土壌から除去するとともに,強磁性吸着剤中にセシウムを濃縮することで,放射性廃棄物の減容化を行うことができると考えられる。
 本研究ではまず,様々な粘土からのセシウムの溶出条件について検討した。次に,強磁性吸着剤を用いてその除去率を検討した。その結果を基に,実際にHTSバルク磁石を用いたセシウムの磁気分離実験を行い、超電導磁石を用いた除染のための磁気分離システムについて検討した。