次世代超電導サイクロトロンの開発:開発課題

Development of Next Generation HTS cyclotron: Key Issues


石山 敦士, 植田 浩史 (早大); 福田 光宏, 畑中 吉治 (阪大); 野口 聡 (北大); 長屋 重夫, 鹿島 直二 (中部電力); 宮原 信幸 (放医研)


Abstract:重粒子線がん治療の普及・拡大のためには、加速器の小型・軽量化とともに高効率化、省エネルギー化が必要である。そこで、我々は、高温超電導技術を活用した小型・高効率・高性能の次世代重粒子線がん治療用超電導サイクロトロンの開発・実現を目指している。我々が提案している超電導サイクロトロンは、高温超電導技術を最大限に活かして、重粒子を高いエネルギーまで加速するために必要な磁場を、等時性磁場を発生するためのメインコイルと周方向に勾配を持つ磁場(AVF)を発生するためのスパイラルセクターコイルを組み合わせて空芯コイルシステムで実現しようとするものである。その開発課題としては、線材特性に対しては、放射化特性および耐放射線性(超電導特性、機械特性)、コイル開発に対しては、空芯で高精度磁場分布を実現するために、コイル形状の最適化、高精度コイル巻線技術、高機械強度コイル製作技術の開発、高温超電導線材内の遮へい電流の影響の低減などが課題として挙げられる。本報告では、次世代超電導サイクロトロン開発の意義および上記の開発課題とその対応策についてまとめる。なお、本研究の一部は科研費(基盤研究A:No. 23246053)に依ったことを付記する。